【レポート】第9回やわつちサロン「何をしているか/何でかせいでいるか/何を考えているかわからない ・桃生さんの活動大全」
2018年09月04日 (更新:2018年9月4日)
日時:2018年6月27日(水)19:00〜22:00
今回は、仙台を拠点に多様な活動を展開する一般社団法人Granny Ridetoの桃生和成さんと、桃生さんをよく知る仕事仲間でもあるライター・編集人の葛西淳子さんをお招きしました。
サロンマスターは一般社団法人NOOKの瀬尾夏美さんです。
桃生さんは「東北の日常を遊びでおもしろくする」をテーマに活動する「つれづれ団」の管理・運営、書籍や冊子の出版、シェア型複合施設THE 6のディレクターなど幅広い取り組みをされていますが、
周囲の方からはいつも「何をしているか/何でかせいでいるか/何を考えているかわからない」と言われるのだそう。
そこで、桃生さんの活動を紐解くべく、今回のテーマが導き出されました。
桃生さんには、事前にご自身にまつわる22の項目を挙げていただきました。
項目には、育った家庭環境や影響を受けたものごと、市民活動との出会い、実施してきたプロジェクトなどのほか、「広い視野とバランス/人との距離感—サッカー部(FW→SB→MF)」「都合の良い存在からの脱却—脱コーディネーター/脱ファシリテーター」といったものも。
桃生さんのこれまでが網羅的に表れるとともに、さまざまな経験を通して見出された考え方が滲む、ユニークな言葉が並びます。
瀬尾さんと葛西さんが独自の切り口で項目を結び、問いかけ、桃生さんが応答していくなかで、徐々に話題が深まっていきました。
なかでも印象的だったのは、桃生さん特有の活動手法。例えば、桃生さんがプロジェクトを行う際に軸としている考え方に、「広場」があります。ある目的を達成するために組織をかたちづくるのではなく、あらゆる個人が集う空間を“広場”とし、そこで人々が出会い、主体的に関わり合うことで、プロジェクトが有機的に立ち上がるというものです。
そして、プロジェクトを立ち上げる際に、条件からできることを絞っていくのではなく、「おもしろそう」という感覚を起点に想像を膨らませ、そこから引き算しながら、実現できることとその方法を探ること。
個々の主体性やアイデアに重きを置きつつ、冷静に状況を分析しようとする、ニュートラルで柔軟なスタンスが通底しているのだと感じました。
もしかすると、「何をしているか/何でかせいでいるか/何を考えているかわからない」と周囲に映るのは、この独特のスタンスが維持されているからなのかもしれません。今回はそのスタンスを下支えする、桃生さんの考え方や心構えにすこしだけ迫ることができたように思います。
桃生さん、葛西さん、ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました!
報告:鈴木瑠理子(東北リサーチとアートセンター スタッフ)