【レポート】Modern Sculptureを超えて
2019年10月03日 (更新:2019月10月3日)
せんだいメディアテークの事業であるアートノードのTALKシリーズ。今回はGallery TURNAROUNDが企画を担当しました。
2019年8月24日土曜の夜、場所は青葉区片平地区にあるのりめんの原っぱ「のりっぱ」で、TALKシリーズでは初の試みとなる野外での開催でした。「のりっぱ」は都市計画道路が予定されていた公用地で、現在は地元町内会に関わる若手が中心となり多世代交流を創出しようと様々な企画が行われています。
TALKのゲストは仙台市出身で、彫刻家であり研究者、出版社代表としても活躍する小田原のどかさんです。地元でありながら、これまで仙台で活動する機会が少なく、参加した皆さんは強い関心を持っているようでした。
はじめに、愛知県豊田市役所にある二つの銅像などを例に上げ、歴史を基にした記念碑文化、観光利用、共同体としての再活用など、日本の公共空間における彫刻について丁寧にお話していただきました。さらに、ご自身の長崎の原爆をテーマにした作品や、「あいちトリエンナーレ」に出展している野外彫刻作品について解説をしていただきました。また、公的機関による彫刻教育の歴史や、戦後に抽象的なタイトルの女性の裸体像が増えたことへの疑問など、モダンスカルプチャーの問題を次々と取り上げていただき、参加者全員が小田原さんの価値観や探求心に引き寄せられました。難しいテーマではありましたが、野外会場という解放感で逆に集中することもでき、新鮮なTALKとなりました。
後半は、「あいちトリエンナーレ」で現在進行形に起きている問題について、現地の状況や見解、そこから生まれた作家同士の新たな動きなど、ニュースでは知ることの出来ない貴重なお話もしていただきました。
“モダンスカルプチャー=近代彫刻”を超えて、”現代彫刻”が担うこれからの可能性と、公共空間、社会、時代、アート、さらに小田原のどかさんについて深く考えられた有意義な1時間半でした。
文章:Gallery TURNAROUND
◉トークの様子は下記からご覧いただけます。
【せんだいメディアテーク・オンライン】TALK Modern Sculptureを超えて