>レポート > 【レポート】やわつちサロン連続レクチャー「プロジェクトをマネジメントするには?」

【レポート】やわつちサロン連続レクチャー「プロジェクトをマネジメントするには?」

2019年08月26日 (更新:2019年8月26日)

日時:全3回 ①2019年7月5日(金)、②7月26日(金)、③8月9日(金)19:00~21:00

 

東北リサーチとアートセンター(TRAC)で開かれる対話の場、やわつちサロン。

今夏は、アーティスト・NPO団体・市民活動向けに、プロジェクトのマネジメントにまつわる連続レクチャーを開催しました。

 

 

 

◆第1回「制作に助成金を活かそう!」7月5日(金)

 

第1回目は「制作に助成金を活かそう!」と題して、スピーカーに小森はるかさん、聞き手に瀬尾夏美さんを迎え、主におふたりのアートユニット「小森はるか+瀬尾夏美」での活動を軸にお話ししていただきました。

昨年度の収支報告や制作スケジュール表など、具体的な事例を交えながら、制作に必要な資金の一部としての助成金との向き合い方や、あえて申請しないという選択肢も含めた活用の仕方などなど、後半には参加者の方々を交えた話し合いも。

助成金との向き合い方を通じ、作品のあり方や希望する制作/展示のプロセス、作家としてどうありたいかといった話題にもつながっていきました。

 

 

 

 

◆第2回「出てくるお金には理屈がある」7月26日(金)

 

第2回は、エイブルアートジャパンの柴田由美子さんがスピーカーを、一般社団法人NOOKの小森はるかさんが聞き手をつとめ、NPO活動における資金の使い方についてお話ししました。

序盤は運営資金をどのように生み出しているか、またそれをどのように活用しているのかを、決算資料や事業の事例をもとに解説。

そして後半は、行政や企業と事業を行う際に発生する資金や、助成金の使われ方についての話題へ。誰のために、なんのために使うお金なのか? 主な資金源は何になるのか?といったTPOをわきまえること、社会づくりや価値創造に寄与するというミッションを担う責任などが話されました。

 

 

最後は、参加者のみなさんとの質疑応答。

ある参加者の方が「団体としてでなく、例えばアーティスト個人が資金を生み出しながら活動するのは難しい?」という質問を投げかけてくださると、会場では「共感を得るために作品や考えを言語化することも大事」「共通するミッションを持つ仲間でコレクティブをつくることで、仕事につなげていくこともできる」といった話し合いに発展しました。

お金を得る・使うということは、活動を支える仕組みの一つであるとともに、どのように社会に向き合い、働きかけていくかというアプローチでもあるのだなと感じました。

 

 

◆第3回「人を巻き込むプロジェクトマネジメント」8月9日(金)

 

3回目となる今回は、一般社団法人Granny Rideto/つれづれ団の桃生和成さんをスピーカーに、3.11オモイデアーカイブの佐藤正実さんを聞き手にそれぞれ迎え、個人、あるいは少人数の人たちの興味・関心に根ざして立ち上がるような、小さなプロジェクトの進め方とその管理の仕方についてお話ししていただきました。

 

 

レクチャー用に100枚弱のスライドを用意してくれていた桃生さん。その中の一枚に記された、プロジェクトをうまく進めていくための9つのトピック——「関わりシロを意識して余白をデザインする」、「情報共有の温度をそろえる」、「目的と手段のすり代わりにご注意を」などなど——を元に、これまでのご自身の経験と実例を交えて話は進んでいきました。

 

 

たとえば「小さく生んで大きく育てる」というトピックでは、3人で5千円ずつ出しあい、できることを考えながら活動する「多賀城をあそぶプロジェクト」を紹介。

多賀城市を面白くすることという緩やかな目的で、月一回開催のトークイベント、フリーペーパーを作る人たちを増やす、街歩きをすることを活動の三本柱に据えたこのプロジェクトでは、定員10名という小さなトークイベントを3人という少人数で続けていくうちに少しずつ人が集まってきて、新しい動きにつながっていくことがあったといいます。

また、関わる人が増えていった場合に、その人たちに委ねることで活動が広がり、面白い方向に転がっていく場合があると、これは「関わりシロを意識して余白をデザインする」という話題にもつながっていきました。

 

参加者の方から、そもそものモチベーションは?と問われ、自身が生まれ育った東北で、ここでしかできないことがしたい、人と関わることで、自分の想像を超える景色が見たい——それらの思いが活動のモチベーションになっていると淡々と答えていた桃生さん。

目的やイメージを文字化して共有する、最初から大きなことをやろうとしない、無理に続けずに終わらせてきちんと振り返る、実際に人と会って信頼関係を築くなどなど、プロジェクトを管理する上で大事な話題が次から次へと出てきたのですが、その話しぶりや身振りからは、桃生さん自身が自分の置かれた状況を楽しもうとしているように思え、そのことが特に印象に残りました。

 

 

 

全3回に渡るレクチャーでは、実際に企画のマネジメントやケアに携わる方のご参加が宮城県内外からありました。サロンの場は、勉強会にプラスして、参加者それぞれが現在抱えている困り事を、自分たちの現場から離れた場所で相談したり共有したりできる機会にもなっていたように思います。

ご参加いただきましたみなさま、誠にありがとうございました!

 

報告:TRAC常駐スタッフ

Tag:

イベント

日時:3回開催(7月5日/7月26日/8月9日)19:00〜21:00
申込不要/参加費:各回1000円/会場:東北リサーチとアートセンター(TRAC)

その他

やわつちサロンは、月に一度、東北アートとリサーチセンター(TRAC)で開かれるちいさな対話の場です。みなさんも一緒に、おしゃべりしませんか?