【レポート】第15回やわつちサロン「マーケティングとクリエイティブ」
2019年04月24日 (更新:2019年4月24日)
日時:2019年2月27日(水)19:00〜21:00
月に一度TRACにて開催しているおしゃべりの場、やわつちサロン。
2月ゲストはマーケッターの笠間建さん(株式会社コミューナ)。「マーケッターは基本、人と会って話を聞くのが好き、話すのも好きなんです」とのお言葉通り、マーケティングのお仕事やチームづくりについてのお話を生き生きと語ってくださいました。
マーケティングって?
製造と販売とのあいだをつなぐ存在として、市場想定に向けた仮説を立て、調査や検証を実行し、プランへつなげていくマーケッター。
笠間さん曰く、マーケッターに必要な能力はズバリ、「思考の仕方」を自ら考えていけるかということ。
サロン前半では、マーケティングに必要な思考の組み立てを試してみるために「東京23区と仙台のゴキブリの数を教えてください」という問題が笠間さんから参加者に出題され、ミニワークショップがスタートました。
人口×一世帯あたりのゴキブリの数で計算してみる?
世帯数や飲食店の数で考えてみるのはどう?
面積で考えるとどうなる?
などなど、様々な切り口で計算を始めるサロン参加者たち。
マーケティングの基本は、間接的な情報をもとにまず仮説を立てて構想を始めていくこと。
立てた仮説が違うようであれば棄却して、また新たな仮説を立てを繰り返し、だんだんと成功に近づいていく……実際のお仕事でもこれを基礎に、現状を調査・分析し、市場の規模を計測し、戦略を立てて商品計画に進んでいきます。
一見複雑そうに思えても、マーケティングには考え方のシンプルなフレームがあるため、一度試してみれば理解できる上、他者にとってもわかりやすく、納得できるものになってるようです。
「ものづくりをする生産者と商品の販売者、双方がマーケティングを共通言語で理解していると組織としては理想的。先に物を作っちゃってから売る場を探す(=プロダクトイン)よりも、どこの誰を対象と決めて作るものを考えていく(=マーケットイン)方が成功する確率は高い」
マーケティングの思考について東京生活時代のゴキブリ退治小噺を交えて説明され、会場も大いに湧きました。
チームづくりのコツ
マーケティングに限らず、仕事を続けていく上では、クライアントとの信頼関係やチーム内の人間関係がしっかり築かれていなければうまくいかないことも。
ご経験が多岐に渡る笠間さんですが、ビジネスのプロとして、マネジメントや人事、組織、プロジェクトを考えようと、早稲田大のMBAのコースで学んでいたこともあるそうです。
サロン参加者から「チームでプロジェクトをする際にやりやすくしていくためには?」と質問が出た際には、「お互いの能力を把握すること」と「少数でやること」の二つのポイントを大事にしていると回答していました。
「日本の仕事は基本的にポスティングだけれど、海外ではその人にあったポストを考え、後から設定していくので、本人の力を発揮しやすくなる。それぞれのペースがあることを理解しあって、自己肯定し、お互いのリスペクトにもつながる」
「少数民族のチーム作りを参考にすると3人くらいがちょうど良く、大人数になったら半分に分けるんです」
笠間さん流のアドバイスが飛び交い、職場の困りごとを参加者同士気軽におしゃべりできる時間にもなりました。
コミューナ立ち上げ当時とこれから
2011年11月に、マーケッター、デザイナー、翻訳家・通訳家からなるチームで発足したコミューナ。
「仙台のマーケッターやデザイナーたちは、震災以前は東京からの下請けの仕事が多かったけど、自分たちでチームを組めば、東京を介さなくても自分の町のことを仕事としてやっていける」と笠間さん。
震災発生時の東北では、様々なプロジェクトの変更が相次いだり、津波被害による代替わりが加速した一方で、若手の地域商社が台頭したり、日本中から集まったクリエイターたちとプロジェクトをやるきっかけも訪れ、あのときは時代が変わると思った、と当時の様子を振り返っていました。
引き受けているお仕事の膨大さから、そろそろ働く仕方を変えていく必要があるけれど、今とはちがうやり方で新しい自分を見つけられるかも、と楽しそうに語っている姿が印象的でした。
報告:佐竹真紀子(一般社団法人NOOK)