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【レポート】TALK 南極を知る ー人が住める環境とはー

2021年01月15日

「南極を知る −人が住める環境とは− 」は2020年12月15日(火)〜20日(日)に、ギャラリー SARPで行われた子どものアトリエ「アトリエ
サタチ展」の中の「プチ南極体験」の関連イベントとして行われました。
「アトリエサタチ展」は、ロケットストーブという調理器具の展示販売会と、その展覧会をつくるまでの子ども達の作業過程の展示でした。
なぜ南極かというと、そのロケットストーブの作り方を子ども達に教えて下さったのが、元日本南極地域観測隊員の石井洋子(いしいひろこ)
さん、通称ひーさんだったからです。

コロナ禍での開催のため、少人数でしか集まれないことから12月の寒い時期に毎日ギャラリーに寝袋で宿泊するというプチ南極体験をして、
その中で南極にまつわる対話のイベントを行うことにしました。ちょうど仙台に本格的な積雪があった一週間のうち、火曜日から土曜日まで
毎晩対話を開催しました。
できるだけ子ども達との対話形式で南極のお話をしようということで、毎回対話の始まりは「南極について何を知っている?」という質問から
始まりました。

南極には、人が生きるためのものは何もない、事前に必要なものを全て持って行くんだよ、というお話から考えるエネルギーや食糧事情、
娯楽などについてはどの子ども達にとっても身近で興味あるものでした。またオーロラやペンギンなどの南極の自然も、実際に体験した人から
聞く話は知識や想像を越えた面白いものでした。
観測隊は少人数で一年以上を過ごすため、仲良くすることが生きるために必要であるということ、少人数であるがゆえに、観測隊員の中の
生活に欠かせない電気屋さん、車屋さん等々の技術者は一人一人がとてもプロフェッショナルであるということ、一方観測をする人達は
そこで何を観測し、そこから何がわかるのかということ、地球の仕組みのお話もありました。

5日間を通して見ると、対話の内容は少しずつ違います。同じ「南極について」の内容でも、質問の仕方によって子どもたちの答えが少し
ふみこんでいることもありました。
企画を通して、ひーさんに子ども達に何を伝えたいか?と事前に伺ったところ「わたしが見た南極を伝えたい」とおっしゃっていました。
それは様々な角度から十分果たされていたのではないかと思います。日を追う毎に「対話」自体が変わっていく様子も興味深かったです。

南極は小さな社会で、いろいろな仕事をする人が必要で、どれも一人ではできないから協力して仕事をすることを学んだひーさんは、
南極から帰ったあと、東日本大震災を経て、現在は南三陸町で大工さん、電気屋さん、漁師さん・・・などたくさんの人を手伝いながら、
自然のサイクルに自らを合わせて暮らしています。そうしたことが南極での体験からつながっていることは、特に子ども達には、
人間はどのようにしても生きることができること、思うように生きていいことが伝わったのではないかと考えます。
そして何よりも、自分が好きなように生きるためには勉強することはとても大切で、そのために学ぶ必要があるのだと感じてもらえたら
と願っています。

 

【南極を知る 対話の記録について】
1日目の対話の記録は、アートノードTALKとして「せんだいメディアテーク・オンライン」で公開しています。
2日目〜5日目の対話は、アトリエサタチによる公開となっています。それぞれの映像は下記URLよりご覧いただけます。

・対話1日目|https://www.youtube.com/watch?v=NwypHJkdnyQ
ひーさんにとって初めての対話形式ということや、プロの撮影が入ったことで、ひーさんも子ども達もとても緊張していたようです。

・対話2日目|https://youtu.be/TCt7hDRzVt0
「なぜ南極は寒いのか?」という小学生の質問に、ただ太陽の熱が届きにくいことだけではないこと、北極より南極が寒いのはなぜか
という答えとともに、質問した子どもに対し「みんな寒いのは知っているけどなぜって考える人はなかなかいないの」とひーさんは
とても喜んでいました。

・対話3日目|https://youtu.be/we2aAuYXYBc
この日は、大人2名との対話だったので、南極条約についての詳しいお話があり、「地球上で唯一誰も領有権を主張しない大陸」
という現在の世界の中での位置づけを知りました。(*条約に加盟しない国もある。)また、ひーさんにとっての南極と東日本
大震災についてのお話もありました。

・対話4日目 | https://youtu.be/_3GV8AlbV3I
「オーロラは音がするのか?」という質問がありました。音が聞こえる人がいるということ、そのため科学的に観測されているが、
まだ証明されていないこと、そのように、まだまだ人間にはわからないことが南極にはたくさんあることがわかりました。

・対話5日目 | https://youtu.be/K2_OM8jaUjw
子ども達が自由に思い思いの質問をしました。「南極へはお金を貰っていったのか?払っていったのか?」という質問や、
現代の発電事情についてのひーさんとのやりとりは、子どもなりに社会の一員としてものを見て考えているのだと感じました。

 

文章:佐立 るり子(アトリエサタチ)

 

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1973年 宮城県石巻市生まれ。仙台市在住宮城県立農業短期大学畜産科卒業。はたけとぞうけいのアトリエ「アトリエサタチ」主催。SARP(仙台アーティストランプレイス)の企画係として、場の運営にも関わって…

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