【レポート】仙台の表現の場を哲学する ーこの街の哲学者との対話ー
2020年03月11日 (更新:2020年3月11日)
今回のゲストは哲学者の野家啓一さんでした。
まずTALKが始まる前に、参加者に、テーマに関連した質問、疑問、意見を紙に書いていただきました。それに対して野家さんがそれに哲学的見地から答え、参加者から質問や主張があればその場で自由に発言していただくという、対話形式で進めました。
テーマは、企画したのがSARPという作家が自主的に管理運営するギャラリーだったため、「仙台の表現の場を哲学する」となりましたが、本来どんなテーマでも成り立つ対話なのではないかと思います。
なぜなら、哲学とは多様な学問を行う人間や、その根拠について問う学問であり、多様な学問と境を接していると言えるからです。そして、哲学がもっとも力を発揮するのは、人が疑問を持ち、考える必要性を感じたときなのです。
そのため主体は参加者にあり、哲学というものがそうであるように、野家さんは疑問に対してただ一つの明確な答えでなく、これまでどのように人々がその問に対して考えてきたかということを教えてくれ、考えるための方法を示してくれました。
大学での哲学の授業とは、学生が難解な専門書を読むことが出来るようになるため、玄関をあけ、案内することで、その先の部屋を自分で自由に探索していくための準備をすることだそうです。
今回のトークでは、市民のために、野家さんが自分で考えるための扉を開けて下さいました。はじめに、「自己」とは何かという話から始まったのは、それを象徴しているように思いますし、必然性があるのでしょう。ここから、またひとりひとりが次の部屋へ進んで行くことができるのだと思います。
文章:佐立るり子