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【レポート】野帳のおはなし+いっしょにスケッチ

2019年03月17日 (更新:2019年3月17日)

春の陽気に包まれた3月10日、地底の森ミュージアムを会場に「野帳のおはなし+いっしょにスケッチ」が開催されました。


今回参加していただいた方には、記念品をプレゼント。受付では、コクヨ東北販売株式会社さまより協賛いただいた「測量野帳」と、河内一浩さんが描いたスケッチをもとに伊達伸明さんがデザインした千代紙を配布しました。

前半は河内一浩さんと伊達伸明さんのトーク、後半は、参加者それぞれが館内に散らばって、気になるものを「野帳」にスケッチするという内容です。

前半トークでは、スクリーンに映し出した野帳の画像にあわせて、何がどのように描かれているか、調査にまつわるエピソードをまじえ、考古学的解説をユーモアたっぷりにお話しいただきました。


野帳は、野外スケッチの際に使うもので、発掘現場の全体像を模式図的に描いたり、等高線をいれた俯瞰図で描いたりします。一部しか見えなくても全体がどのようになっているかを考え、見えない裏側までも想像してスケッチし、後で調べてメモを書き足すこともあるそうです。


また河内さんは、どの場所を歩いても、身体感覚で高度分布図がかけるといいます。目の高さが140cmだとすると、10cmおきにどのくらいになるかがぱっとみた瞬間にわかるとのこと。実際に報告書にまとめるとき、その数字があっているかどうかを地図等の資料であわせてみるとだいたいあっているといいます。経験から身に着けた技術ですね。

はじめの頃、野帳はあくまで自分のメモで、人にみせるものではなかったそうですが、人に見せるようになってからは、描き方に変化があったそうです。

変化のきっかけは、以前河内さんが、瀬戸内海の島を巡って海から古墳を見るツアーに参加した時のこと。
古墳がある島の近くで船がとまり、見学者がいっせいにデジカメで撮りはじめた時、写真では古墳が風景に埋もれてうまく写せないことを知る河内さんは、野帳に絵とメモで記録しました。その様子を「撮影もせずに何してるんだろう」とのぞき込んだ研究者仲間がスケッチのわかりやすさに驚嘆、コピーがほしいと頼んできたのです。その時河内さんは、野帳が自分用のメモとしてだけではなく、みんなが使える、第三者にとっての記録装置にもなり得ることを実感したそうです。

河内さんは、実際にどのように描いているか手順を説明しながら、ホワイトボードに円筒埴輪を描いてくれました。

後半のスケッチでは、今回のイベントのために、特別に本物の土器(仙台市太白区、上野遺跡出土の縄文土器)も展示していただきました。


所蔵:仙台市教育委員会

土器にみられる地域特有の特徴について、地底の森ミュージアム職員の鈴木さんに解説していただきました。

 

みんなでスケッチの時間です。


それぞれが描いたスケッチを、机の上に並べ、みんなで鑑賞しました。

短時間でしたが、みなさん何枚も描き、ユニークな着眼点、表現方法でスケッチをされていました。着彩される方もいました(館内でのスケッチは鉛筆のみ、着彩は研修室内で行いました)。

ご参加いただいたみなさま、ご協力いただきましたコクヨ東北販売株式会社さま、地底の森ミュージアムさま、ありがとうございました。

●河内さんの野帳を紹介する展覧会「進化する『野帳』 考古学者 河内一浩の記録生活」は、東北リサーチとアートセンターで、4月29日まで(金・土・日・祝13時~20時)開催しています。
展示を企画した、伊達伸明さんの解説文と併せてお楽しみください。

●写真撮影:渡邊博一

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イベント

考古学者・河内一浩さんの「野帳」を紹介する展覧会。2019年2月22日(金)〜4月29日(月・祝)金・土・日・祝のみ開室13:00〜20:00
会場:東北リサーチとアートセンター/入場無料

プロフィール

1961年大阪生まれ。考古学者。現在、羽曳野市職員(世界文化遺産推進室)。 小学生から考古学に興味を持ち現在も研究を続けている。 野帳は1981年から使い始め、2018年12月現在でNo.455を数え…

プロフィール

美術家、「建築物ウクレレ化保存計画」主宰。1964年兵庫県生まれ、大阪育ち。京都市立芸術大学美術学部大学院工芸科修了。2000年より取り壊される建物から生活痕の残る材料を用いてウクレレを制作し、肌合い…

プロジェクト

研究や事業の準備段階とされる「しらべること」自体の魅力に着目する伊達伸明が、必ずしも自己表現を目的としないながらも、着眼点や圧倒的な蓄積ゆえに社会性を持つに至ったさまざまな活動の中から、その魅力やプロセス、記録方法などを紹介するシリーズ。