【レポート】「つくる」を教える、「つくる」と向き合う
2019年12月12日 (更新:2019年12月12日)
せんだいメディアテークが進めるプロジェクト「アートノード」のTALKシリーズ。
今回は、FabLab SENDAI – FLATが企画を担当しました。
ゲストにお迎えしたのは、東京の中学校で美術教育に携わる西谷圭さん。「デザイン=より良くすること、豊かにすること」という考えから、美術教育を通して人を豊かにしてきたいと日々奮闘しています。
トークは“めあて”の共有からスタート。普段の授業でも始めに“めあて”を示しているそうで、今回は『美術への認識を見つめ直し、自己の感覚・体験をつなげて、表現への勇気をもとう』がめあてとして掲げられました。
生徒でも大人でも、美術が好きかどうかと聞くとほとんどの手が挙がりますが、得意かを問うと半数以下に減ってしまうそう。様々な要因が考えられますが、一番多い理由は「うまくできない」からなのだとか。
生徒や大人たちの思う“うまい”とは、“似ている”、“リアル”であること。様々なものを見て“目”は成長し続けるのに、何かを作ることはしなくなるため“手”は成長していきません。
そのため、年齢を重ねるほど「美術は嫌い」「美術はできない」と思うのではないかと西谷さんは話します。
そこで西谷さんが行っているのが、“似ている”、“リアル”以外の価値を伝えることで“解”が多様であることに気づかせ、生徒にとっての“うまい”の意味を広げていくこと。
例えば自画像を描く授業では、様々な画家の自画像を見せ、写実的でなくても自分自身を表現することは可能だと伝えているそう。
これによって、生徒たちの描く絵が多様化するだけでなく、他の人の描いた絵や発想を楽しめるようになるのだそうです。
トークの後半には、ミニワークショップも。今回の課題は「自分の気持ちを、円形に切った紙を使って表現する」というもの。今回のめあてのひとつである「表現への勇気を持つ」を目標に、皆さん思い思いの作品を制作されていました。
最後に、西谷さんからお話しされたのは「表現をする上で重要なのは、様々な経験をすること。
実体験は五感で情報を受けており、それがアイデアにつながる」ということ。
何かを作るための技術だけでなく、一歩踏み出す方法を教えることが、“「つくる」を教える”うえで重要なカギなのかもしれません。
文章:小野寺 志乃(FabLab SENDAI – FLAT)
◉トークの様子は下記からご覧いただけます。
【せんだいメディアテーク・オンライン】TALK 「つくる」を教える、「つくる」と向き合う