【レポート】TALK 社会彫刻とクラフトジン 仙台と札幌の「2056」年を考える
2019年04月12日 (更新:2019年4月12日)
今回は、仙台藝術舎/creekの受講生がカリキュラムの課題となった「2056」年(AKIRAやブレードランナーに代表される近未来を描く表象の歴史を踏まえ、2019年の37年後となる2056年を表現することに挑戦するもの)を授業の課題発表を超えて、より開かれた社会の課題として考察・問題定義するための実践として企画されました。
仙台藝術舎/creekが仙台発のアートスクールであり、新たなアートの動きを作り出そうとする試みであること、一方、同じく地方都市である札幌でアートスクールを主催する端聡氏と、その受講生であるテラダエイジ氏の二人をゲストに招くこのTALKでは、異なる日本の都市でのアートスクールを比較検討しながら、「未来」というものに向けての活動の現状とその可能性を考え探ることが目指されました。
第一部である「札幌と仙台のアートシーン」「札幌と仙台のアートスクール」では、端氏が深く関わる札幌国際芸術祭についてと、北海道のアイヌの歴史もふまえつつ札幌の美術の現状について語られ、司会の関本氏からは仙台藝術舎/creekを立ち上げる動機として仙台の現状について触れられました。札幌国際芸術祭がここまで続いていることが、東日本大震災が大きな要因であることは印象深い話でした。両校に参加した司会の斉藤氏により、受講生の立場からのそれぞれのスクールの特徴も紹介されました。
第二部となる「社会彫刻」では、テラダ氏による社会彫刻についての意見と、それに基づき行っている活動が紹介されました。
出演者、司会者がアートスクール主催側と生徒であり、今回生徒が医師と投資家という立場でもあるということが興味深いものでした。第二部で語られた内容から、テラダ氏が「社会彫刻」という端氏の考え方(もとはヨーゼフ・ボイスの思想)の影響を受けているものの、それはもともとテラダ氏が持っていた思想を補う形でアートスクールが存在していたということがわかりました。このTALKの企画自体も生徒が考え、アドバイスは受けながらも生徒が主体となり進められたことからも、両スクールではある大きな方向性を一方的に与えられるのではなく、個人の自覚を促し、それぞれの立場から問題にアプローチする方法を考え試行し、それを他者と共有するということが繰り返されていることがわかります。それが社会とアートの関わりの一つの形として示されているように感じられました。
今回のTALKには、テラダ氏が活動の一環として手がけている3種類のクラフトジンが提供され、好きなように飲みながら進められました。複雑なジンの香りを通じ、「味覚・嗅覚」を交えながら展開される議論には言語的なやりとりだけでは引き出すことのできない自由な雰囲気や説得力を実現できた側面がある一方、議題の精査や進行の打ち合わせについての不足によって、各話者によって提案される「未来」について議論を深める地点まで話を進めることができなかった課題が残りました。最後におこなわれた質疑応答ではいろいろな角度からの質問が多数あがり、アンケートでは、「大学だけでは学べないことを多く聴くことができたのでこういったイベントが増えればいいと思う」、「型がくずれた感じの中で面白い話がきけた」という意見がありました。
文章:佐立るり子 仙台藝術舎/creek-3期生
TALK 社会彫刻とクラフトジン 仙台と札幌の「2056」年を考える
日時
2019年3月21日(木・祝)15:00 – 17:00(開場14:40)
場所
大手町親和会集会所
仙台市青葉区大手町7-5
出演
端聡(はたさとし)美術家・アートディレクター・CAIアートスクール代表
テラダエイジ 始める自由人・社会彫刻家・社会探検家
司会
斉藤真由子(さいとうまゆこ)仙台藝術舎/creek-3期生、CAIアートスクール21期生
関本欣哉(せきもときんや)仙台藝術舎/creek代表