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【レポート】「難民、移民と協働するアートセンター 〜イギリス、カウンターポインツ・アーツ〜」

2025年10月16日 (更新:2025年10月16日)

イギリスで移民や難民の芸術活動を支援している団体「カウンターポインツ・アーツ(Counterpoints Arts)」から、代表のコルジッチさんと、「Refugee Week(レフュジー・ウィーク)」のコーディネーター、ディフェンスさんをお招きし、アート活動を通じて、移民、難民と共存する社会をどう変えていけるかについてお話しいただきました。

イベントの最初には、仙台観光国際協会(SenTIA)の堀野さんから、日本に住む外国人の現状について簡単な紹介がありました。日本では在留外国人の割合が約3%なのに対し、イギリスでは人口の約17%が外国生まれや外国籍、または外国生まれとのこと。国籍の傾向にも違いがあり、日本は中国やベトナムなどアジア圏が多い一方、イギリスではインドやヨーロッパ出身が中心です。

続いて登壇したコルジッチさんは、「イギリスの文化は移民や難民によって豊かになっている」と語り、カウンターポインツ・アーツが2011年の設立以来、さまざまな団体と協力しながら、文化や芸術を通じて彼、彼女らの声を社会に届けてきたと紹介してくれました。

ディフェンスさんからは、世界20カ国が参加する移民や難民の創造的性と貢献を称えるお祭り「Refugee Week」や、コメディや音楽などのポップカルチャーを使ってイメージを変えていくプロジェクト「No Direction Home」など、ユニークな取り組みが紹介されました。

また、コルジッチさんは、今後は、こうした活動の「影響力」や「成果」をどのように見える形で社会に伝えていくかが大切になるとも話していました。単にイベントを開催するだけでなく、その結果として何が変わったのか、社会の仕組みや人々の意識にどう作用したのかを丁寧に記録・共有していく必要があるとおっしゃっていました。

 

その他、とても興味深かったのが、団体名の「カウンターポインツ アーツ」の由来のお話でした。
カウンターポインツとは、異なるメロディーが響き合う音楽用語です。ポストコロニアリズムの理論で有名なエドワード・サイードからの着想で、大の音楽好きだったサイードは、カウンターポインツを、異なる背景を持つ人々が共に生きる社会の状況と重ね合わせました。

異なる人たちが共存することで生まれる、新しい価値があると、コルジッチさんは語ります。

アートがもつ力、そして移民・難民をめぐる語りをどう変えていくか。多くの気づきを得られる時間となりました。


【開催情報】

日時:7月14日(月)18時30分~20時

会場:せんだいメディアテーク 7階スタジオa(仙台市青葉区春日町2-1)
ゲスト:
アルミア・コルジッチ(カウンターポインツ・アーツ代表)
ララ・ディフェンス(カウンターポインツ・アーツ プロデューサー)

堀野 正浩(公益財団法人 仙台観光国際協会(SenTIA))

通訳:齋藤 高晴(株式会社コミューナ / Communa Inc.)

モデレーター:
甲斐 賢治(せんだいメディアテーク アーティスティック・ディレクター)
池上 朋(せんだいメディアテーク アートノード担当)

主催 :せんだいメディアテーク(公益財団法人仙台市市民文化事業団)
協力:公益財団法人 仙台観光国際協会 (SenTIA)

 

◉トークイベントの映像は、以下のYouTubeチャンネルにて公開予定です。

せんだいメディアテーク・オンライン

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イベント

移民や 難民による芸術制作や活動を支援する、カウンターポインツ・アーツによるトーク。場所:せんだいメディアテーク 7階スタジオa、入場無料