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夏の出稽古関西編2|笹原晃平+小川さやか

2024年09月01日

アーティスト笹原晃平が「交換」「経済」「こども」「地域活性化」をテーマに発案したアートプロジェクト《社会実践 ポストポン》。2度のワーキンググループを終えた2024年の夏に、本プロジェクトの検証もかねて、文化人類学者の小川さやかさんにご意見・アドバイスを頂戴するため、立命館大学の研究室へ伺いました。

この1年のあいだ、貨幣経済をめぐる内部的な勉強会の取り組みから、小川さんの著書「都市を生きぬくための狡知―タンザニアの零細商人マチンガの民族誌」にある「狡知」を大きなキーワードとして進めていました。本プロジェクトにおける「抜け穴」「ルールの網目の抜け方」など、参加する子供たちから自発的に「生きていく術」を学んでもらいたいという思いから、そのようなズルガシコイ子供たちのことを、運営チームでは「狡知キッズ」と呼び、どこまでそのズルを許容するか、しないか、といった議論を度々行ってきました。

今回、2度のワーキンググループを終えたなか、実際にどのようなことが行われたかを含め、小川さんに報告や説明をさせていただきつつ、ご意見を頂戴しに京都の立命館大学にて、ヒアリングの機会を頂戴しました。

小川さんは、文化人類学の視点から、このプロジェクトを「狡知=ンジャンジャ」の概念で解釈いただき、人々が傍目には困難な状況を乗り切るために用いる「ずる賢さ」の具体例や経験談を紹介くださいました。加えて、ポスト貨幣あるいは貨幣という仕組みのハックを行う世界的な事例を教えていただき、プロジェクトの進むべき道をともに考えてくださいました。

この対話を通じて、社会実践ポストポンのプロセスは、単なる先送りではなく、社会や経済に新たな可能性を見出すための知恵を生む手法であることを再確認し、新しい展開やアートプロジェクトだからこそできる取り組みへの正しい舵取りについても、いくつかのアイディアがでました。

この対話は将来的に文字起こしなどによって編集を行います。

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