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【レポート】山小屋から見えてくる自然・建築・人間

2022年02月02日

せんだいメディアテークによる「アートノード」のTALKシリーズ。今回は、小川錦織一級建築士事務所から、京都にいるゲストの奥矢恵さんと日本全国からの参加者をZoomでつないでお送りしました。

本レクチャーの前に、関連企画の山あるきツアーを主催した、青葉山・八木山フットパスの会の内山隆弘さんより、ツアーで出会った地質・植生・歴史について、紅葉が美しい秋晴れが背景となった当日の写真をもとにご説明いただきました。また。ツアー参加者による青葉山フットパークでの球根植えの様子や、八木山テラスで活動する方との交流をご紹介いただきました。

Zoomでの仙台の山あるきを体験し、フットパークの球根の開花に期待をふくらませたところでいよいよ奥矢さんのレクチャーです。
奥矢さんは、京都府立大学の「小屋と道の研究室」で、小屋を中心とした調査・研究と設計活動を展開されています。
レクチャーでは、そもそも山小屋とは何ものか?という問いに始まり、日本や世界の様々な山小屋の事例が紹介されました。また、奥矢さんの研究フィールドである富士山に焦点をあて、山と人と自然との関わり、そこから立ち現れてくる山小屋の形についてご説明いただきました。最後に、環境問題への対策等が蓄積して重装備となった富士山の山小屋の景観や、コロナ禍で山小屋の空間や運用形式が変化しつつあること等、現在の山小屋の姿についてお話しいただきました。

奥矢さんのレクチャーを受けて、参加者からは、山小屋の構造や使われる木材、信仰の対象としての山と山小屋との関係性への興味など、山小屋そのものについての質問がありました。

聞き手の小川泰輝さんからは、日本の昔の山小屋とスイスの現代の山小屋、どちらも環境に応答してつくられたにも関わらず、建ち現れ方が大きく異なっている、という指摘がありました。それに対して参加者から、山小屋のシンプルな空間形式と現代のテクノロジーを用いることで、都市部の人びとがより自然に近いところに拠点を持つことができるのではないか、という未来のライフスタイルを予感させるコメントがありました。

その他、山小屋を研究しているという仙台市内の大学院生からの専門的な質問もありました。

最後に参加者から、山小屋の管理はどのようになされているのか、という質問があり、奥矢さんから日本の山小屋の管理状況について解説していただきました。それに対して、内山さんから、フットパスでも管理が課題となっている中、道にまつわる自然・地形・歴史を掘り起こし、みんなとその場所の面白いことを共有することで、愛好家を増やしていく試みについてお話しいただきました。奥矢さんからも、山小屋の管理者による一方通行のサービスだけでなく、愛好家とともに育てる登山道や山小屋の可能性についてコメントをいただきました。

山が好きな人が集い、語り、思い思いに過ごした後、次の日には別々の道を歩き出す…それが山小屋の魅力だと言う奥矢さん。レクチャーの最後に、改めて山小屋でしか体験できない時間や空間は何だったのか、元々持っていたシンプルなあり方を提供する山小屋が今求められているのではないか、という奥矢さんからの問いかけを、参加者と共有できたところで本イベントは終了しました。

 

文章:錦織真也(合同会社小川錦織一級建築士事務所)

 

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◉トークイベントの映像は以下のYouTubeチャンネルからご覧になれます。

せんだいメディアテーク・オンライン
山小屋から見えてくる自然・建築・人間(2021年11月13日)

 

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イベント

11月13日(土)、富士山研究所を経て山小屋の研究をされている奥矢恵さんをゲストに迎え、「山小屋」についてレクチャーいただき、自然と建築と人間との関わりについて考える会を開催いたします。また、同日には…